もう“SSDの寿命”を心配する必要はない? 一般的な「SSDの耐用期間」とはSSDの懸念は解消されつつある

HDDやRAIDのメーカーは、ソリッドステートドライブ(SSD)のセルの寿命について不安をかき立てている。だが企業がSSDの採用を検討する際、劣化を心配する必要はそれほどないという声もある。

2017年08月25日 05時00分 公開
[Jim O'ReillyTechTarget]

 SSDの寿命は依然として不安視されているようだが、もはや劣化を心配する必要はなくなっている。

 初期のSSDの連続書き込みテストでは、数週間でドライブが駄目になった。そこでSSD業界はメモリセルの物理的性質を研究し、書き込みの信号波形と電圧しきい値を調整して書き込みの品質を高めた。

 読み出し動作に必要な最小時間である読み出しサイクル時間も、セル間干渉を抑え、セル電圧検出を高めて短縮した。数学者たちが開発した誤り訂正技術も効果を上げた。

 当初、企業向けのフラッシュストレージシステムはドライブの劣化を恐れて、1セル当たり1ビットを格納するシンプルなシングルレベルセル(SLC)のSSDを採用していた。当時は、1セル当たり2ビットを格納するマルチレベルセル(MLC)のドライブは、一般消費者向けにしか使えないと考えられていた。現在はMLCの耐久性が向上し、SLCデバイスはあまり使われなくなった。データを複数のブロックに分散するウェアレベリングソフトウェアの開発により、企業向けSSDでもMLCの採用が一般的になっている。

表 ソリッドステートストレージ用語集
用語 説明
ソリッドステートドライブ(SSD) 一般に、HDDと同様のフォームファクタ(形状や仕様)で提供するソリッドステートストレージをSSDと呼ぶ
シングルレベルセル(SLC) 1セルに1ビットを格納するNANDフラッシュメモリのタイプ。NANDフラッシュメモリの中で速度と信頼性と耐久性が最も高いが、最も高価
マルチレベルセル(MLC) 1セルに2ビットを格納するNANDフラッシュメモリのタイプ。SLCより低速で寿命は短いが、安価
エンタープライズマルチレベルセル(eMLC) MLCの“高性能化”版。MLCの欠点をメモリコントローラーとソフトウェアで補う。企業向けフラッシュストレージ製品で採用が増えてきている
PCI Express(PCle) 高速サーババス規格。多くのサーバ向けフラッシュストレージ製品が採用している
不揮発性ランダムアクセスメモリ(NVRAM) DRAM並みに高速でありながら、電源を切ってもデータを保持できる。一部のフラッシュストレージシステムではキャッシュとして利用している

SSDの耐用期間

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