コンピュータ教育から“あぶれる”子どもをなくす? MSが教育版Minecraft全国大会と若者支援を発表「未来のビジネスに必須なスキルを届けたい」

日本マイクロソフトは、通常の教育機関以外の子どもも参加できる「Minecraft カップ 2019 全国大会」および若者向けIT就労支援プロジェクト「若者TECH」の実施を発表した。IT関連の教育科目が存在感を増す中、何らかの事情でそうした教育から遠ざかった子どもや若者の支援を図る。

» 2018年12月04日 08時00分 公開
[高木理紗ITmedia]

 日本マイクロソフトは2018年11月29日、同社が手掛けるサンドボックス型ゲーム「Minecraft」のプログラミング教育向けバージョン「Minecraft: Education Edition」による競技会「Minecraft カップ 2019 全国大会(以下、Minecraft全国大会)」の開催と、コンピュータ教育を活用した若者向けのIT就労支援プロジェクト「若者TECH」を同時に発表した。

 同大会は、同社が「一般社団法人ICT CONNECT 21」「一般社団法人ユニバーサル志縁センター」と協力し、2019年3月10日〜8月31日に開催する。応募テーマは、「スポーツで、豊かな町を作るには」。15歳以下のプレイヤー3人以上、コーチ役の成年者1人以上で構成されるチームを対象に、同年3月10日〜6月30日までオンラインで応募を受け付ける。

photophoto 実際に大会で使われる「Minecraft: Education Edition」の様子

 同大会を開催するに当たり、日本マイクロソフトでは、普段「Minecraft: Education Edition」のライセンス付与対象である教育機関とは別に、病院に入院中の児童が学ぶ院内学級や、不登校児童の支援団体など、何らかの事情があって学校に通えない子どもが通う教室を対象に、一時的なライセンスを発行し、こうした子どもたちも参加できるようにする。

 Minecraft全国大会では、参加者がメンバー同士で連携し、プログラミングによってゲームの世界での「町づくり」に取り組む。完成した町だけでなく、開発過程も審査過程に入るため、「個人のプログラミング技術だけでなく、お互いに協力し合ってプロジェクトを進める力」も重要になるという。

 11月29日に開かれた記者説明会で、日本マイクロソフトの平野拓也代表取締役社長は「これまでの義務教育の中で十分にITに触れるチャンスがなかった若年世代にどうコンピュータサイエンス教育を届けるのかが課題だ。日本政府、経団連が掲げる『Society 5.0』の考えにのっとり、子どもたちが未来に活躍できるスキルを育てたい」と語った。

photo 日本マイクロソフトの平野拓也代表取締役社長

 若者TECHは「認定NPO法人 育て上げネット(以下、育て上げネット)」と連携。15〜44歳までの参加者に、同団体を通じて「AI」「IoT」「ビッグデータ」「プログラミング」といった分野を扱うカリキュラムを使った教育を行い、ITを使った就職支援の拡大を図るという。2018年4月から試験的に取り組みを開始しており、2019年1月から本格的に活動を開始する見込みだ。

photo 記者会見に登壇した、「認定NPO法人 育て上げネット」の工藤啓理事長

 「育て上げネット」の工藤啓理事長は、記者発表会に登壇し、「若者TECHの前身に当たり、日本マイクロソフトと進めてきた就労支援プロジェクト『若者UP』には、5万人を超える若者が参加した。2019年には全国20拠点に展開したい」と語った。

 2つの取り組みの背景には、若年層にとって、コンピュータ教育の持つ重みや可能性が今後増していく現状がある。多くの企業の組織や企業でITを使いこなす環境は増えつつあり、日本政府は、2020年から小学校、2021年から中学校、2022から高校で、プログラミング教育を必修化する意向を固めている

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