「チャージトラップ」方式のNAND型フラッシュメモリは、旧式の「フローティングゲート」方式と比べて何が優れているのか。現状の課題は。
NAND型フラッシュメモリは一般的に、メモリセルにある「フローティングゲート」(浮遊ゲート)という電荷保持領域を使用して、データを格納する。ベンダーの中には耐久性と拡張性を高めようと、フローティングゲートとは別の手段で電荷を保持する「チャージトラップ」(電荷捕獲)方式のNAND型フラッシュメモリに切り替える動きもある。
チャージトラップ方式のNAND型フラッシュメモリは、フローティングゲート方式と比べて、メモリセルの物理的な損傷や電子漏れの影響を受けにくい。一方でチャージトラップ方式には、特に信頼性に関する課題が指摘されている。
フローティングゲートは、NAND型フラッシュメモリの一般的な電荷保持手段として利用されてきた。フローティングゲートは、特定の方法でメモリセルに電圧が加わると電子を蓄積する。別の方法で電圧が加わると、電子を解放する。通常はメモリセル1個につき、フローティングゲート1個を含む。
1個のメモリセルで1bitを保持できるシングルレベルセル(SLC)のNAND型フラッシュメモリの場合、フローティングゲートに電子を蓄積すると、そのメモリセルのビット値を「0」だと見なす。そうでなければ「1」だと見なす。1個のメモリセルで保持できるデータが2bitのマルチレベルセル(MLC)や、3bitのトリプルレベルセル(TLC)のNAND型フラッシュメモリになると計算は複雑になるが、基本は変わらない。
メモリセルの内部では、内外に電子が出入りするシリコン基板とフローティングゲートを「トンネル酸化膜」という絶縁膜で分離している。トンネル酸化膜は極めて薄いため、電圧が加わると、電子はトンネル酸化膜を通り、フローティングゲートとシリコン基板の間を移動できる。
データの書き込み(プログラム)操作中は、電子をフローティングゲートに蓄える。消去操作中は、フローティングゲートから電子を排出する。
NAND型フラッシュメモリでは、データの書き込み/消去プロセスである「P/Eサイクル」を繰り返すたびに、トンネル酸化膜がわずかに損傷する。ある程度のP/Eサイクルを繰り返すと、トンネル酸化膜が劣化して電子を保持できなくなり、電子がフローティングゲートから漏れ出して、メモリセルは使用不能になる。
メモリセルのサイズが小さくなり、各メモリセルに詰め込むビット数が増えるにつれ、メモリセルが物理的に損傷する可能性は高くなる。一部のメモリセルに読み書きが集中しないようにする「ウェアレベリング」などのテクノロジーによって、フラッシュストレージ全体の寿命を延ばすことはできる。ただし各メモリセルは、いずれ機能しなくなる。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
「2025年の崖」として不安視されたレガシーシステムや人材不足の問題は、2025年を迎えた今、解消に向かいつつあるという。その理由とともに、次のチェックポイントとなるだろう2027年に向けて取り組みたいAI活用のポイントを解説する。
データ生成デバイスの進化・多様化により、保存すべきデータ容量は急増した。その管理においては、コストとパフォーマンスのバランスが課題となっている。解決策の1つとして注目される「HPSS」の効果について、導入事例を紹介したい。
業務のデジタル化が進み、データ量やワークロードが増大していた大阪府農協電算センター。それによりインフラの負荷が高まり、性能を向上させることが喫緊の課題になっていた。本資料では同社がどのようにインフラを移行したのか解説する。
「データを共有しておいてください」といった言葉はもはや日常となり、共有ストレージの活用は欠かせないものとなっている。一方で、「容量が不足している」「外出先で社内ファイルを閲覧できない」などの課題を抱える企業も多い。
ビジネスにおけるデータの重要性が増す中、それを保存するためのストレージへの注目度が高まっている。それでは、自社に最適なストレージを導入するためには、どのように選定すればよいのか。重要なポイントを分かりやすく解説する。
次世代サーバはどこまで到達した? 集約率・電力消費・耐量子暗号の現在地 (2025/7/9)
製造や医療で注目の「エッジAI」、産業用コンピュータにいま必要な技術とは (2025/5/23)
クラウド全盛期になぜ「テープ」が再注目? データ管理の最前線を探る (2025/4/24)
データの多様化と肥大化が加速 ファイルサーバ運用は限界? 見直しのポイント (2025/4/8)
Hyper-Vは「次の仮想化基盤」になり得るのか 有識者の本音を聞く (2025/3/14)
なぜクラウド全盛の今「メインフレーム」が再び脚光を浴びるのか
メインフレームを支える人材の高齢化が進み、企業の基幹IT運用に大きなリスクが迫っている。一方で、メインフレームは再評価の時を迎えている。
「サイト内検索」&「ライブチャット」売れ筋TOP5(2025年5月)
今週は、サイト内検索ツールとライブチャットの国内売れ筋TOP5をそれぞれ紹介します。
「ECプラットフォーム」売れ筋TOP10(2025年5月)
今週は、ECプラットフォーム製品(ECサイト構築ツール)の国内売れ筋TOP10を紹介します。
「パーソナライゼーション」&「A/Bテスト」ツール売れ筋TOP5(2025年5月)
今週は、パーソナライゼーション製品と「A/Bテスト」ツールの国内売れ筋各TOP5を紹介し...