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「難しいからこそ需要がある」 AIが足に合う靴提案するマッチングシステム、開発の理由は?(1/2 ページ)

» 2018年06月29日 10時00分 公開
[村田朱梨ITmedia]

 「3Dプリントを出力するだけでなく、インプットする側でビジネスをできないかと考えていた」―――足と靴の3Dデータを使って、女性におすすめのパンプスをマッチングするシステムを開発したフリックフィットの廣橋博仁社長はこう話す。かつて経営していた3Dプリンティング企業で人体のスキャニングに取り組んでいた際、「ECサイトなどでは試着ができない。この技術で解決できないか」と考えていたのが、マッチングシステム開発のきっかけになったという。

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 ヒールで傾斜がついていたり、スニーカーや革靴よりも足を固定する部分が少なかったりと、何かと選ぶのが難しいパンプスから着手したのは、「難しいからこそ靴探しの需要がある」と考えたから。「売り場の要望としても多かったし、知り合いの女性もECでは靴が買えないと言っていた。だから、会社のブランディングも含めて一旦『女性向け』でやろうと考えた」(廣橋社長)

顧客の足と靴をマッチングする仕組み

 現在、同社のマッチングシステムは、靴と足をそれぞれ専用の3Dスキャナーで測定し、そのデータをクラウドに送ってAIでマッチングしている。靴の計測には、フリックフィットが独自開発した「シューデジタイザ」という3Dスキャナーを使用する。靴の片方を入れると、レーザーセンサーが下りてきて靴を内側から360度スキャン。そのデータをクラウドに送信してノイズ除去などの処理をすることで、マッチングのためのデータが完成するという。1回の計測にかかる時間は3分半ほどだ。

photo シューデジタイザ
photo シューデジタイザで計測する様子

 一方、足を計測するのは米Intelのデプス(深度)カメラ技術「RealSense」を活用した3Dスキャナー「フットデジタイザ」だ。こちらは靴を脱いで上に乗ると、取り付けた4台のカメラが15秒ほどで両足をスキャンし、つま先からくるぶしあたりまでの3Dデータを作成してくれる。女性向けに作成したため、現在計測できる足のサイズは26センチほどまでだが、30センチまで測定可能な男性向けのフットデジタイザも開発しているという。

photo フットデジタイザ
photo フットデジタイザで計測する様子
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