“かみ合わない”議論を整理する「問題解決の5階層」榊巻亮の『ブレイクスルー備忘録』(1/2 ページ)

この会議、あれこれ意見は出るものの、なんだか話が平行線で進まない、どこか“かみ合っていない”気がする……。そんな議論を整理してスムーズに進めるための会議のコツとは。

» 2018年06月07日 12時00分 公開
[榊巻亮ITmedia]

この記事は榊巻亮氏のブログ「榊巻亮の『ブレイクスルー備忘録』」より転載、編集しています。


 前回に続き、今回も、2018年4月末に出版された『世界で一番やさしい会議の教科書 実践編』から、“会議のエッセンス”を紹介したい。

本書の構成

  • 会議ファシリテーションの8つの基本動作
  • ファシリテーター7つの心構え
  • よくある18の困り事と対策
  • 会議で効く3つの図解パターン
  • 定着4段サイクルと、浸透の6パターン

※「会議ファシリテーションの8つの基本動作」の概略は、こちらの記事もご参考いただきたい。

 今回は、この中の「よくある18の困り事と対策」から、「議論がかみ合わない」を取り上げて紹介する。なお、“会議でよくある18の困り事”は、以下の通り。

会議でよくある18の困り事

1. 誰も発言しない

2. 議論が盛り上がらない

3. 一部の人しか会議に参加しない

4. 独演会が止まらない

5. 発散や脱線が多すぎる

6. 議論がかみ合わない

7. 会話がまどろっこしく、スムーズに進まない

8. 議論が間延びする

9. 論点が多すぎて、議論が難しい

10. 意思決定に時間がかかる(トップ合意編)

11. 意思決定に時間がかかる(現場合意編)

12. 決まったことが後から蒸し返される

13. 時間通りに始まらない

14. 大人数の定例会が難しい

15. プロジェクトの進捗報告会が難しい

16. 電話会議が難しい

17. テレビ会議が難しい

18. オンライン会議が難しい


議論がかみ合わない

Photo

 熱心に議論しているのに、話が平行線な気がする。具体的に何がとは表現できないし、決して議題から大きく脱線しているわけでもないのに、“話がかみ合っていない”感じがしてならない。“何が”かみ合っていないのだろうか……。誰もが、そんな経験をしたことがあるはずだ。

 話の“かみ合わせ”が悪くなる原因は幾つあるが、ここでは、そんなときに役立つ1つの解決策として「問題解決の5階層」を紹介したい。

問題解決の5階層

 話がかみ合わないのは、「構造的な議論のズレが原因」であることが多い。

 実は議論には構造がある。特に問題解決の議論は、明確な5層構造になっている。これを「問題解決の5階層」と呼ぶ。この5階層は「事象」「課題」「原因」「施策」「効果」の5つの要素で構成されている。

Photo 問題解決の5階層
  • 第1階層「事象」: 今、何が起こっているのか。業務やシステム、顧客、従業員がどんな状況にあるのかを指す。単なる事実であり、人の主観は入らない。
  • 第2階層「課題」: 現状の困り事。解決したいと感じること。
  • 第3階層「原因」: 課題が発生しているのはなぜか。理由があり、背景があるはずだ。
  • 第4階層「施策」: 課題を解消し、現状を目指す姿に近づけるための打ち手。通常は原因を踏まえたうえでないと、有効な施策は出せない。目指す姿を見据えられていないと表面的な改善にとどまりがちで、本質的な施策を出せない。
  • 第5階層「効果」: 施策を実行するには投資が必要になる。リスクも伴う。得られる効果の大きさも施策ごとに異なる。
       1|2 次のページへ

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.

注目のテーマ